子どもに勉強やスポーツをがんばってほしい、と思うのは親の共通の願い。
そうはいっても、子どもは親の希望どおり動いてくれないのが現実。
“子どもの学習が続かない”
“宿題をするよう声をかけるにも気をつかう”
“新しいことに挑戦してみたけれどすぐにあきらめてしまう”
..といったことは親であれば誰でも直面する悩みではないでしょうか。
「子どもが興味を持ちそうな習い事をやってみた」「勉強する習慣を身につけるため学習塾に入ってみた」ということも、もちろん子どもの可能性を伸ばす一つのきっかけになります。
それらとあわせて、食事面から子どもの能力を高めることができる、というのも事実。
食習慣を整える、子どもが所属する環境を整える、の両面から子どもの能力にアプローチできれば相乗効果で伸びていくことができる、と考えています。
この記事では、
✔︎子供の勉強が続かない
✔︎子供の集中力を高める方法を知りたい
✔︎集中力を高められる食材はあるの?
✔︎子供には好きなことを追求してほしい
といった方に向けて、食事からアプローチ!続ければ変わる、集中力を高める食べ物と食べ方について紹介しています。
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目次
1.集中力を高めるには?
こんにちは、献立作りを不要にする栄養コンサルタントの高野( @takano_nao)です。
子どもを持つ親にとって“子どもの集中力をどう高めるか”は大きな関心の一つ。
幼稚園、保育園での活動や、学校での勉強、スポーツほか、自分の興味のあることには集中して取り組んでほしいですよね。
はじめに、子どもの発育の過程を確認しておくと、次のような曲線に沿って発達していきます。
(出典)国立スポーツ科学センター「スキャモンの発育曲線」
【神経型】脳、脊髄、感覚器
【リンパ型】免疫をつかさどるリンパ組織
【生殖型】生殖器
子どもの集中力を高めるためには、集中できるだけの脳の働きが必要になってきますが、脳を作る食べ物をはじめ、脳を刺激する運動、脳を休める睡眠、集中するための環境づくりなど、多くの要因が関係してきます。
多くの要素が関わり合って集中力は作られるといえますが、上の図のとおり、脳の成長が関わる“神経型”の発達は6歳頃までに大きく伸びていくことが特徴的。
そんな脳の機能を高めるための食べ物と食べ方はどういったものが良いのか、今回は、食べ物の面からアプローチしていきます。
子どもはこの曲線に沿って成長していくんだ、ということがわかっていれば、生まれてからの20年がどれくらい大切かが実感できますね。
2.意識したい!子供の脳を作る食べ物4選
はじめに断っておきますが、“子どもの脳を作る食べ物”といっても、2つや3つ、この食べ物をとっていれば良い!というものは存在しないんですよね。
本サイトでも度々説明していますが、私たちが摂った栄養素が効率的に体に吸収、代謝されていくには、食事の栄養バランスがとても重要になってきます。
なので、集中力を高めたい!と思ったら、“全体的に食生活の質を上げる”ことが一つの選択肢になるんですね。
その前提で、今回は特に注目したい4つの栄養素を取り上げています。
2-1.糖質
まず一つめの栄養素が“糖質”です。
糖質、と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか。
「糖質オフ」「低糖質」といった言葉があふれているので、ダイエット(減量)をする時に考えないといけない栄養素、糖質=太るといったイメージが強いかもしれません。
ですが、忘れてはならないのは、私が主食として食べているごはんやうどん、パンなどの糖質は“脳や神経組織の唯一のエネルギー源”であるということ。
体にとって必要な量の糖質がなければ、脳や神経系が正常に働かないことになるんですね。
“糖質は太りそう”というイメージから、糖質の摂取量を気にするよりも、十分なエネルギーが必要な子どもが、糖質不足になっていないかを気にかけた方がいいかもしれません。
糖質不足になった場合に見られる症状としては次のとおり。
子どものやる気が出なかったり、原因がわからない疲れを訴えたりするのが気になるなら、普段食べている糖質の量をチェックしてみてくださいね。
次の表は、子どもにとって必要な糖質の点数になります。
お茶碗1杯に普通程度に盛り付けたごはん=150g(3点)になります。
(四群点数法による)
身体活動レベルⅡにおける穀類の摂取点数
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
3-5歳 | 7.0 | 6.5 |
6-7歳 | 8.5 | 7.5 |
8-9歳 | 10.0 | 9.5 |
10-11歳 | 13.0 | 12.0 |
12-14歳 | 15.5 | 14.5 |
15-17歳 | 18.0 | 13.5 |
(「七訂 食品80キロカロリーガイドブック」より抜粋して独自作成)
1日の子どもの活動量によっても糖質の必要量は変わってきますが、
標準的な活動量の男の子(10歳)の場合、
必要量は1日13点になります。
写真で表すと次のような量です。
(直径12cmの茶碗を使っています)
成長期の子どもにとっても、1日の必要エネルギーの半分以上を糖質からとることになるので、気をつけたい栄養素なんですね。
体にとって不可欠な糖質が不足すると不調を招く、と考えると、なんとなく食べていたごはんやうどん、パンなどにはとても重要な意味があるんだな、と感じられるのではないでしょうか。
1日に必要な穀類の量についてはこちらの記事で解説していますので、あわせて参考になさってください。
2-2.脂質
子どもの脳を作る食べ物。
注目したい栄養素の2つめは“脂質”です。
脂質というと、サラダ油、オリーブ油ほか、肉の脂、魚の脂などを思い浮かべられるでしょうか。
具体的には、脂質はその構成成分の違いにより、いくつもの種類に分けられています。
当然、その働きはさまざま。
プラスに働く脂質もあれば、マイナスに働く脂質もあるわけです。
ここで、集中力を生み出す脳は何からできているかを押さえておきましょう。
当たり前の事実ですが、私たちの体は食べたもので作られています。
脳も例外ではなく、その一つなんですね。
普段はあまり意識することはありませんが、
脳は水分を除くと、
6割が脂質
4割がたんぱく質
で作られています。
脂質が6割も占めていることが意外かもしれませんが、それだけ脂質は重要な役割を担っているんですね。
体内での脂質の働きを見ておきます。
●貯蔵エネルギーになる
●体温の調節を行う
●細胞膜の原料になり、細胞の働きを維持する
●ホルモンや脳の神経細胞の原料になる
など
“食べたら太る”といった一般的なイメージとは違い、細胞の働きを守ったり、ホルモンや神経組織の材料になったりと、体を作る成分になっているんですよね。
脂質は大きくいくつかのタイプに分けられますが、肉や乳製品に多く含まれる脂質が血中バランスを崩し血液をドロドロにする作用があるのに対し、魚介類や豆類、良質なオイルに含まれる脂質は、余分な中性脂肪を減らしたり血圧を下げたり、血栓を防いだり、脳の働きを高めたりすることがわかっています。
脂質も糖質と同じく、摂りすぎたら太るのは事実ですが、脂質のこのような役割を知っていれば、いかに質の良い脂質をとるかがポイントになってきます。
そこで積極的に摂りたいのが“魚の脂”。
とくに青魚に含まれるDHA、EPAといった種類の脂には脳機能を高めて集中力や記憶力を高めると言われているんですね。
よく耳にしてきたかもしれませんが、“魚を食べると頭が良くなる”と言われているのはこのような理由からです。
そうはいっても、子どもの偏食がひどく、思うように魚を食べてくれない、と悩んでいる人もいると思います。
魚の栄養を手軽にとるための秘訣については、こちらの記事で紹介していますので、あわせて参考にしてください。
魚、大豆、卵、ナッツ類など
2-3.鉄
続いて注目したい栄養素は“鉄”。
“鉄分”や“貧血”といった言葉が浸透していますが、実は鉄は一般的に認知されているよりも多くの働きをしています。
貧血というと、血液の赤血球の中にある、酸素を運ぶヘモグロビンが不足している状態ですが、その症状として立ちくらみやめまい、頭痛などをイメージされるのではないでしょうか。
貧血の症状が出たら、
あ、血が足りてないのかな、ごはんきちんと食べなきゃ。
立ちくらみが治まったからまあいいか。
といった認識が多いかもしれません。
その認識で終わってしまい、貧血の裏で引き起こされている数々の不調に目を向けることはあまりされていないのではないか、と感じています。
ここで、鉄の重要な働きを挙げると次のとおり。
●エネルギーを作り出す
●心のバランスを整える
貧血、と一言でいっても、その症状はさまざまで、不足すると、集中力や思考力、やる気、体力がなくなり、倦怠感や頭痛なども引き起こしてしまうんですね。
このような症状が慢性的に続けば日常生活に支障が出ることが想像できるのではないでしょうか。
こちらの記事では鉄の働きを詳しく紹介していますので、ぜひ参考になさってください。
え、こんな症状も鉄不足で引き起こされるの?と知るだけで、子どもはもちろん、大人にとってもプラスになると思います。
また、鉄は水溶性で、かつ吸収されにくい栄養素の一つなので、日々十分な量をコツコツとることが大切になります。
子どもの集中力アップをサポートするために、鉄を多く含む食材を献立ルーティンに少しずつ取り入れてみてくださいね。
レバー、赤身肉、赤魚(まぐろ、かつお、ぶり、いわしなど)、大根の葉、菜の花、小松菜、豆類、卵、海藻、ごまなど
2-4.ビタミンB群
よく聞く“ビタミンB群”ですが、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類をまとめて指す言葉になります。
それぞれが食べたものの吸収、代謝に広く関わっているので、まんべんなく摂ることが大切なんですね。
ビタミンには脂溶性と水溶性があり、ビタミンBは水溶性ビタミンに分類されます。
なので、体内に貯めておくことができず日々排出されていくため、毎日続けてとることがポイントに。
“集中力を高める食べ物”としてこれまでに挙げた糖質、脂質、鉄も、ビタミンB群の働きがあってはじめて、効率よくエネルギーを作ることができたり、脳を動かすことができるんですよね。
せっかく食べたお肉やお魚、野菜をスムーズに代謝するためには、日々のビタミンがとても重要になるわけです。
食べたものを効率よく取り入れるためのビタミンの役割については、こちらの記事でまとめていますので、合わせて参考になさってください。
未精製の穀類、レバー、肉類、魚介類、海苔、豆類など幅広い食品に含まれる
3.子供の集中力を高める食べ方4選
続いて、子どもの集中力を高める食べ方について見ていきます。
残念ながら、食べ方についても食べ物同様、昨日今日と栄養バランスの良い食事をしたからこれで大丈夫!みたいな結論にはなりません。
ですが、ちょっとした食べ方のコツを知っているかどうかで雲泥の差!くらいに変わってきますので、“できる範囲でコツコツ”取り入れていきましょう。
ポイントとなる次の4つについて説明していきます。
2.ほかの栄養素と合わせる
3.よく噛んで食べる
4.おやつ(補食)を見直す
3-1.継続してコツコツとる
特定の栄養素に関わらず、質の良い食事は日々取り入れることがやはり重要になってきます。
体も心も一朝一夕には作られない、ということですね。
私も毎日のごはん作り、手を抜くというと語弊があるし、自己肯定感を下げてしまうので、栄養バランスを整えつつ、なんとか負担感を減らすことはできないかと模索続きです。
そこで、日々の食事作りに意味を持たせたい!と考えてゆる〜くマイルールにしたのがこちら。
(糖質を適正にとる)
✔︎パンを食べる頻度を減らす
(脂質を見直す)
✔︎子どもが好きなお刺身を献立ルーティンに加える
(脂質・鉄を見直す)
✔︎野菜たっぷり鍋を献立ルーティンに加える
(ビタミンB群を見直す)
✔︎白米に雑穀米を加える
(糖質・ビタミンB群を見直す)
✔︎高野豆腐を使う頻度を上げる
(鉄・ビタミンB群を見直す)
✔︎揚げ物をあまり作らない・買わない
(脂質を見直す)
✔︎赤身肉を使う頻度を上げる
(脂質・鉄を見直す)
✔︎手軽なしらす干しとアサリ缶を活用する
(鉄を見直す)
など
一気に眺めるとたくさん項目があるような気がしますが、一つ一つを見ればどれもちょっとしたことなんですよね。
なんとなく使っていた食材も、このように意味を持たせることで、食事作りに自信と納得感を持てるのではないでしょうか。
3-2.ほかの栄養素と合わせる
続いて、集中力を高める食べ方の2つめは“ほかの栄養素と合わせる”ことです。
これまでにも書きましたが、栄養素が効率よく働くためには多様な栄養素がチームとして存在する必要があります。
栄養素は単体では動かず、ほかの栄養素と関わり合いながらその作用を発揮するんですね。
なので、せっかく食べるなら“食べ物はワンチーム!”の意識で食べた方が断然お得なんです。
こちらの記事では、なぜ栄養バランスが大切なのかを解説、日々の食生活を可視化できる便利なアプリについて紹介していますので、よければ参考にしてください。
3-3.よく噛んで食べる
集中力を高める食べ方、3つめのポイントは“よく噛む”ということ。
我が家の子どもたちは少し前までとっても早食いでした(汗)。
食べたい!という食い意地が圧倒的に勝ってしまい、食事マナーもそこそこにガッついていた時期があります。
よく噛んで食べないとお腹が痛くなることがあるし、のどが詰まることもあるんだよ、と理屈で説明しても、理解し、かつ実践できるようになるまでに数年はかかっています。
✔︎唾液の消化酵素により消化吸収がよくなる
✔︎唾液の殺菌効果により虫歯予防になる
✔︎脳神経へ刺激が伝わり、脳細胞が活性化する
✔︎あごが発達するため歯並びがきれいになる
など
このように、よく噛むと記憶力や集中力が高まるほか、色んなメリットがあるんですよね。
なので、少し我が家は早食いかなぁと思われる場合は、まずは口に入れた食べ物は20回、30回‥と数を数えて噛むことを意識しよう、という言葉がけがいいかもしれません。
よく噛んだ方がいい理由が理解できるようになったら、ゲーム感覚で噛むのを楽しむのもいいですね。
また一般的に、“よく噛むことのできる食材=固い食材”、とイメージしそうですが、そうではなく、色んな種類の食品を合わせることで、噛む回数は増えます。
我が家は数年前まで朝食はパン食でしたが、栄養学的にも質を上げ、また噛める食事に変えるため、今では3食ともごはんを中心にしています。
“よく噛むと集中力が上がる”というのはそれほど認知されていないかもしれませんが、ちょっとした食事の工夫が能力アップにつながるのであれば、実践したくなりますね。
3-4.おやつ(補食)を見直す
集中力を高める食べ方、最後のポイントは“おやつを見直す”ことです。
小学生になると、活動量も必要なエネルギーもともにぐっと増えます。
本来、3食だけでまかない切れない栄養素を補食であるおやつで満たす必要があるんですね。
あれこれ脳を育てる食事に気をつけていても、おやつの食べ方によってはせっかく摂った3食の食事にマイナスの影響を与えることも。
一般的なおやつとしてパッと思いつくのは、スナック菓子やチョコレート、ケーキ、菓子パン、グミなどが挙げられますが、これらには糖分や塩分、トランス脂肪酸ほか、健康を損ねてしまう食品添加物がたくさん含まれているものもあります。
また、これらのおやつによく使われている砂糖と油脂は依存性が高く、口にすればするほどもっと欲しい!となり、過剰に食べてしまうことになってしまいます。
本来、成長に必要な栄養素を補うのがおやつの役割ですが、スナック菓子に代表されるような市販品ばかりを与えていては、逆に成長を阻害することにもなりうるんですよね。
じゃあ、質のよいおやつってどんなの?
簡単に用意できるおやつは?
おやつ作りに時間をかけていられない
と思う人でもシンプルに準備できるおやつをこちらの記事で紹介しています。
難しく考えずに、おにぎりに果物を添えたり、レンチンしたかぼちゃをクラッカーにのせたり、毎日続けられることで十分です。
子どもにとっておやつ習慣も大きな意味を持つもの。
ささいなことかもしれませんが、目に見えないことでも、小さな習慣の積み重ねが子どもの中に根付いていくのではないかなと感じています。
いかがでしたでしょうか。
今回は、「子供の勉強が続かない」「子供の集中力を高める方法を知りたい」「集中力を高められる食材はあるの?」「子供には好きなことを追求してほしい」といった方に向けて、続ければ変わる、集中力を高める食べ物と食べ方について書いてみました。
子どものやる気を引き出し、前向きな気持ちでどんどん取り組めるようになってほしい!と思うなら、想像以上に食べ物が果たす役割は大きいんですよね。
一気にあれもこれもやるぞー!と意気込むより、今日からまずは一つ、の軽い気持ちで試し続けていきましょう。
(参考文献)
国立スポーツ科学センター「スキャモンの発育曲線」
『(七訂)食品80キロカロリーガイドブック』香川芳子編(女子栄養大学出版部)
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