あなたは薬味と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
“料理の主役ではないし、薬味がなくてもそれなりに美味しい”
“レシピによっては欠かせない存在”
“絶対この料理にはこの薬味!”
など、食体験によって色んな距離感がありますよね。
この記事では、
✔︎薬味には栄養はあるの?
✔︎薬味の使い方を広げたい
✔︎薬味でもっと健康になりたい
といった方に向けて、薬味の働きを押さえながら、薬味で減塩できる食べ方のコツについて紹介しています。
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目次
1.薬味の栄養素と働き
こんにちは、献立作りを不要にする栄養コンサルタントの高野( @takano_nao)です。
我が家では、献立によって薬味を利用しますが、よく使う薬味とあまり使わない薬味ってありますよね。
使い方や組み合わせ方に自信がない場合は、レパートリーがワンパターン化しがち。
でも食べられる薬味があるなら、いつもの献立に少し使うだけで全く別の風味になることも。
使わないと損!くらいの仕事をしてくれます。
その薬味。
種類は実に様々です。
ねぎ、大葉、しょうが、みょうが、三つ葉、わさび、ゆず、大根おろし、かつおぶし、かいわれ大根、ニラ、海苔、ごま、胡椒、パセリ、パクチー、バジル、にんにく、唐辛子‥
ざっと挙げてもこれだけありますし、和食だけでなく、異国料理に欠かせないものもたくさんありますよね。
ここでは、5つの薬味の働きを挙げていますが、普段何気な〜く食べている薬味の効能を知って、さらに役立てていきましょう。
1−1.ねぎ
そのままでも、焼いても煮ても美味しいねぎ。
活用度はとても高いんではないでしょうか。
ねぎの主な栄養素としては、β−カロテン、ビタミンC、カリウムなど。
皮膚や粘膜の健康を保ってくれたり、疲労回復や冷え性改善、血栓予防、消化促進といった働きがあります。
生の辛みが苦手でも、火を通すととても甘くなるので、子どもでも食べやすくなるのが嬉しいですね。
1−2.大葉(しそ)
赤じそには抗酸化作用のあるアントシアニンが、青じそには目などの粘膜を守ったり細菌の感染を防ぐβ−カロテンが豊富。
赤じそ青じそどちらにも含まれる香り成分ペリルアルデヒドは強い殺菌力があるので、食中毒を予防したり胃の働きを丈夫にする効果があります。
また、ビタミンB2やカルシウムも多いので、食べたものの代謝を促したり、丈夫な体を作ったり気持ちを落ち着かせてくれたりと、色んな働きをしてくれるんですね。
1−3.しょうが
辛み成分のジンゲロールは、熱を加えるとショウガオールに変化し血行をよくしてくれる効果が。
新陳代謝が促進されるので、体が温まってくるんですね。
風邪のひき始めや冷え性の改善、体脂肪の分解などに効果的なので、気になるときは特に摂っていきたいもの。
しかし、一度に多くは食べられないので、料理にちょこちょこ使っていくのが便利ですね。
我が家ではよくお味噌汁に少し加えたり、肉炒めや魚の煮付けなどに入れています。風味もよくなるので嬉しいですね。
1−4.みょうが
みょうが独特の香りはα−ピネンというもの。
消化促進、食欲増進、リラックス効果をもたらしてくれます。
辛い成分のミョウガジアールは、抗菌解毒作用があるため、風邪予防にも効果的。
みょうがも大葉もしょうがも、より細かく刻むことで細胞が壊れ、成分が発生するので、できるだけ刻む方がお得になります。
1−5.バジル
バジルは、β−カロテン、カリウム、カルシウムが多いのが特徴的です。
独特の匂いには、消化促進のほか、集中力を高めたりリラックス効果もあるんですね。
焼き物、煮込み、パスタ、ピザなど、そのまま食べても火を入れても豊かな香りが立つバジル。
香りも味も強めなので、味が苦手な場合は香りだけでも利用するといいですね。
以上、5つの薬味の特徴についてみてきましたが、香味野菜だけあって、香りや辛み、酸味、うま味が個性的なものが多いですよね。
それだけ好みがはっきり分かれることもありますが、自分のお気に入りの味を見つけるのも楽しいもの。
次に、そんな個性あふれる薬味を減塩に役立てる例についてみていきます。
2.薬味を減塩に利用する
日本人の食事に多い塩分。
食事で塩分を摂りすぎてしまうと、高血圧や動脈硬化など様々な病気の原因になる、というのはもはや“常識”くらいの認知度になっていますよね。
でも、食塩は目に見える醤油やたれ、漬物といった直接塩味を感じる食品のほか、パンやチーズ、ハム、ラーメンのスープなど、うま味とともに塩分が含まれている場合が多くあります。
このような場合は、直接塩味と感じないこともあるので、自分が塩分をとっているという認識がなくてわかりにくいんですよね。
それだけに、実際に自分が日々とっている食塩の量を正確に把握するのは難しいもの。
これを意識しておかないと、一口に減塩といっても、うまく減塩できないことになってしまいます。
ここで、役立ってくれるのが薬味。
塩味がなくても、個性の強い香りや独特の刺激があれば、そこまで塩味が必要とはなりません。薬味の種類も多いので飽きることなくレパートリーを楽しむことができるわけですね。
次にサンプルメニューを2つ挙げていますが、どちらも食塩や食塩の入った調味料を使っていないので、ここから発想のヒントを考えてもらえれば嬉しいです。
2−1.サンプル1:冷奴
一つめのサンプルは冷奴です。
上の写真は、絹豆腐に大葉、しょうが、みょうがをのせたもの。
冷奴というと、醤油をかけるのが定番かと思いますが、これは醤油を使っていません。
それでも、薬味を3種掛け合わせることにより、十分に味のハーモニーを感じることができるので、美味しく食べられます。
“冷奴には醤油をかけるもの”という固定概念があると、いつもの習慣でついかけてしまいそうになりますが、醤油がなくても食べ方は色々ありますね。
ただ、生のしょうがは他の薬味に比べて辛みが強いので、量に注意しながら使ってください。
続いては、絹豆腐にオリーブオイル、バジルをプラスしたものです。
豆腐にオリーブオイルというのはあまり聞かないかもしれませんが、合うんですよね。
これも醤油など塩分は加えていませんが、オイルのコクとバジルの香りでさわやかな一品となっています。
2−2.サンプル2:カルパッチョ
二つめのサンプルはカルパッチョです。
薄いいちょう切りにした大根に刺身のサーモンをのせ、オリーブオイル、大葉、みょうがをプラスしたものです。
さっぱりした大根に、コクのあるオリーブオイルとサーモン、薬味の香りで、塩味がなくても美味しく食べられます。
いつもの食べ方だけではなく、塩分をとらない調味の形を探るのも面白いですね。
次は、減塩できる食べ方のコツについてみていきます。
3.薬味で叶える減塩できる食べ方のコツ
これまで、薬味を使えば減塩できる、ということをお伝えしてきましたが、食べ方のコツは次のとおり。
✔︎食塩の入った調味料を使うならいつもの半量を
✔︎薬味はいくつか種類を掛け合わせ、いつも以上にたっぷり使う
普段、醤油をドボドボかけてしまっているならそれを半分にする、その代わりに薬味を多めに用いる、というイメージです。
急に塩分を減らせなくても少しずつ使う量を変えていけたらいいんです。
ここで、色んな料理に使えるドレッシングを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
3−1.和風ドレッシング
(材料)
ごま油 比率1
酢 比率1
醤油 比率0.5(★いつもの半量を目安に)
砂糖 少量
大葉 適量(写真は2枚使用)
みょうが 適量(写真は1/2個使用)
生野菜はもちろん、肉料理や魚料理、豆腐料理にも合います。
メインの食材とともに“食べるドレッシング”のようなイメージですね。
普段はわさび醤油で食べているお造りにも合いますし、新たな食べ方を見つけるのも面白いですね。
3−2.洋風ドレッシング
(材料)
オリーブオイル 比率1
酢(またはレモン汁) 比率0.5
砂糖 少量
バジルの葉 適量(写真は2枚使用)
肉ソテーや魚ムニエル、魚フライにも合うドレッシングです。
バジルのさわやかさと酢の酸味でさっぱり食べられます。
減塩に加えて酢のクエン酸により疲労回復効果もあるのが嬉しいですね。
3−3.中華ドレッシング
(材料)
ごま油 比率1
酢 比率0.5
砂糖 少量
鶏がらスープの素 少量(写真は小さじ1/3使用)
ニラ 適量(写真は3本使用)
焼きのり 適量(写真は8切り1枚使用)
ニラは5mm程度の幅に切り、焼きのりは細かくちぎって入れればOK。
これも“食べるドレッシング”になります。
野菜はもちろん、蒸し鶏や海鮮丼のつけだれなどとして使えば、風味がきわ立つ一品になります。
今回は、「薬味の使い方を広げたい」「薬味でもっと健康になりたい」といった方に向けて、薬味の栄養素と働きを押さえながら、薬味で減塩できる食べ方のコツについて書いてみました。
減塩するためのとっても簡単なコツなので、ぜひあなたのご家庭でも試してみてくださいね。
味覚は食習慣で作られるので、減塩を始めた当初は“ちょっと物足りないかな〜”と思っても徐々に慣れていくもの。
調味料に頼りすぎることなく、より食材のうま味そのものを味わえるよう、また、より健康な体を作っていければいいですね。
(参考文献)
『あたらしい栄養学』吉田企世子・松田早苗監修(高橋書店)
『くらしに役立つ栄養学』新出真理監修(ナツメ社)
『最新版 知っておきたい栄養学』白鳥早奈英(学研プラス)
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