減塩された醤油、ソース、うどん、ソーセージ、塩昆布、スナック菓子‥
私たちの身の回りには減塩食品があふれていますよね。
減塩のものを使っていれば、気軽に減塩ができているように思えるかもしれません。
ですが、自分が一体どれだけの塩分をとっているか、実際に数字で把握するのは難しいもの。
この記事では、
✔︎食塩の1日の適量を知りたい
✔︎自分が実際に摂っている食塩量がわからない
✔︎どうすれば食塩摂取量を減らせるか知りたい
といった方に向けて、食塩の1日の適量を知るとともに、カリウムを積極的に摂ることの大切さについて解説しています。
※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
1.食塩の摂取量を知る
こんにちは、献立作りを不要にする栄養コンサルタントの高野( @takano_nao)です。
日本人の食事は塩分が多いと言われて久しいですが、はじめに直近の摂取量を見てみます。
厚生労働省の『平成29年国民健康・栄養調査』によると、
食塩摂取量の平均値は9.9gであり、男女別にみると男性10.8g、女性9.1gである。
この10年間でみると、いずれも有意に減少している。
とのこと。
一方、厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』によると、1日の摂取目標量(20歳以上)は男性7.5g未満、女性6.5g未満となっているんですね。
理想と現実をみてみると、かけ離れていることがわかります。
近年の摂取量は減少していることが認められているものの、1日あたり3g程度をさらに減らす必要があるんですね。
でも。
“食塩3gや7gと言われても、どれくらいの量なのかわからない”
“毎日自分がどれだけ摂っているかイメージがわかない”
“減らそう減らそうといっても一体どうやって??”
って思いませんか?
次に、1日に摂ってよいとされている食塩の量を目で確認するとともに、無意識のうちに摂っているかもしれない食品に含まれる食塩の量をみていきます。
2.食塩の1日の適量を知る
食塩もそうですが、肉や野菜など食品の重さをgで言われてもなかなか直感的に把握できないもの。
私も以前は、よく目にする野菜350gのほか、ご飯1膳150g、野菜の小鉢70gといった量がすぐにはわからなかったんです。
食や料理関係の仕事をしている人、レシピを見て計量器で計りながら料理する人以外は、なかなか日常で食品の重さを計ることは少ないのではないでしょうか。
なので、“何g減らしましょう”と言われても自分ごととして実感しにくいですよね。
そこで、まずは大人の食塩の適量についてみてみましょう。
2−1.大人の食塩の適量
食塩の場合、小さじ1=6gとなります。
なので、
小さじ1+1/4=食塩7.5g
小さじ1強=食塩6.5g
ですね。
ほかの調味料でみると、食塩1gは次の量になります。
食塩1gの概量を覚えておくと、0.5g、0.3gなど量を調節するときにイメージしやすいので、ぜひ活用してみてください。
<食塩1gの目安量>
文字だけでもまとめておきます。
<食塩1gの目安量>
鶏がらスープ 小さじ4/5
醤油 小さじ1
めんつゆ(3倍濃縮)小さじ1+3/5
味噌 小さじ1+2/3
ポン酢 小さじ2+1/5
中濃ソース 小さじ3
トマトケチャップ 小さじ5
マヨネーズ(卵黄型)小さじ10
国の基準では、男性7.5g未満、女性6.5g未満とされていますが、日本高血圧学会が作成した「高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)」では、減塩の目標値として1日6g未満とされています。
さらにいうと、2013年に世界保健機構(WHO)が出したガイドラインでは、高血圧や心臓病予防を目的に、食塩の摂取目標値を1日5g未満とすることが強く推奨されています。
こうみると、日本の基準自体が世界の目標値に届いていないということがわかりますよね。
食塩に含まれているナトリウムは、私たちの体を維持するのに不可欠な必須ミネラルではありますが、通常の食生活をしている限り不足することはありません。
どの基準値にも“〜g未満”という表現が使われているのもそういった理由からですね。
サンプル写真をもとに、摂取量のイメージをより具体化してもらえたら嬉しいです。
2−2.子どもの食塩の適量
続いては、子どもの1日の食塩の適量についてです。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書によると、次のとおり。
子どものナトリウム摂取基準(参考文献より抜粋)
年齢 | 男性の目標量(g) | 女性の目標量(g) |
---|---|---|
1-2歳 | 3.0 | 3.0 |
3-5歳 | 3.5 | 3.5 |
6-7歳 | 4.5 | 4.5 |
8-9歳 | 5.0 | 5.0 |
10-11歳 | 6.0 | 6.0 |
12-14歳 | 7.0 | 6.5 |
15-19歳 | 7.5 | 6.5 |
大人と比べてぐっと低い数値になりますね。
離乳食が終わる1歳半頃になると、“もう大人と一緒の味つけでいいのかなぁ”という声もたまに聞きますが、3−5歳でも食塩の適量は大人の約半分になるんですよね。
15歳頃になってようやく大人と同じ適量になることがわかります。
我が家でも子どもが小さいので、食材は大人と同じものであっても、味つけは別に。
調理過程や仕上げの部分で、手間にならない程度に大人の分と変えるだけです。
特に10代は体が大きく変わる成長期。
できる範囲で気にかけていきたいですね。
3.食品に含まれる食塩の量
続いて、身の回りの食品に含まれる食塩の量をみていきましょう。
上で見た調味料から直接塩分を摂っているほか、食品を作る過程でも食塩はたくさん使われています。
このような食塩は目に見えないので、食塩を摂っている感覚はないかもしれませんが、思っている以上に多いものもあるんですよね。
もちろん、1日の食塩の適量にはカウントされるので、次の例を見ながらイメージをしてみてください。
食品 | 食塩相当量(g) |
---|---|
カマンベールチーズ16g | 0.2 |
プロセスチーズ15g | 0.3 |
ロールパン1個 | 0.4 |
ゆで中華めん(1食200g) | 0.4 |
たくあん漬け20g | 0.5 |
ウインナー(1本25g) | 0.5 |
ロースハム(2枚24g) | 0.6 |
ゆでうどん(1食240g) | 0.7 |
食パン6枚切り1枚 | 0.8 |
スモークサーモン30g | 1.1 |
さつま揚げ60g | 1.1 |
焼きちくわ65g | 1.4 |
梅干し(1粒10g) | 2.2 |
(参考文献から抜粋して独自作成)
例えば、表のサンプル食品をもとに、朝食に
・食パン1枚(0.8g)
・目玉焼きにトマトケチャップ小さじ1(0.2g)
・ウインナー2本(1.0g)
・サラダにマヨネーズ小さじ1(0.1g)
を食べた場合、1食での食塩相当量は2.1gになります。
調味料は少しだけしか使っていないように見えても、食塩を多く含む食品を選んでしまうと、あっという間に適量に近づいてしまうんですよね。
いつも食べている食品たちに、一体どれくらいの食塩が含まれているものなのか、1日を通してチェックしてみると新たな発見があるかもしれません。
4.外食にみる食塩の量
続いて、外食メニューに含まれる食塩の量をみてみます。
有名な4つの飲食店の代表的なものを取り上げてみました。
【吉野家のメニューの食塩相当量】
メニュー | 食塩相当量(g) |
---|---|
味噌汁 | 1.8 |
コモサラセット(サラダ) | 2.1 |
けんちん汁 | 2.3 |
豚丼(並盛) | 2.3 |
牛丼(並盛) | 2.7 |
豆腐ぶっかけ飯(並盛) | 3.4 |
豚生姜焼き定食(並盛) | 4.2 |
豚スタミナ定食(並盛) | 4.7 |
(吉野家HP「カロリー・栄養成分・アレルギー物質一覧」より抜粋)
【マクドナルドのメニューの食塩相当量】
メニュー | 食塩相当量(g) |
---|---|
マックシェイクM(バニラ) | 0.5 |
フライドポテトM | 0.8 |
チキンマックナゲット5ピース | 1.3 |
フィレオフィッシュ | 1.4 |
ハンバーガー | 1.4 |
チーズバーガー | 1.9 |
ビッグマック | 2.6 |
チキンフィレオ | 2.9 |
(マクドナルドHP「データ一覧表」より抜粋)
【天下一品のメニューの食塩相当量】
メニュー | 食塩相当量(g) |
---|---|
味がさね並 | 5.1 |
こってり並 | 6.4 |
あっさり並 | 7.5 |
(天下一品HP「天下一品のラーメン成分表」より抜粋)
【ミスタードーナツのメニューの食塩相当量】
メニュー | 食塩相当量(g) |
---|---|
フレンチクルーラー | 0.2 |
エンゼルクリーム | 0.4 |
ポン・デ・リング | 0.6 |
ハニーディップ | 0.7 |
オールドファッション | 0.8 |
トッピング・ホットトースト ツナメルト | 1.7 |
ベーコンとチーズのトマトスパゲッティ | 3.6 |
汁そば | 3.7 |
胡麻坦々麺 | 4.8 |
(ミスタードーナツHP「栄養成分情報」より抜粋)
美味しそうなメニューがずらりと並んでいますよね。
たいていの場合、外食は味が濃いめですし、甘いスイーツであっても食品の中に食塩は含まれています。
これら飲食店はうまく利用すればとても便利ですし、私たちに楽しみや癒しを与えてくれるもの。
“食べちゃダメ”ではなく、1日や1週間で食生活のバランスを見ながら利用していけたらいいですね。
5.カリウムを積極的にとる
これまで、1日の食塩の適量と、身の回りの食品に含まれる食塩の量をみてきました。
意外に食塩を摂っていることがわかったり、この部分は別の食品に変えてみよう、など気づいた点もあるのではないでしょうか。
なるべく食塩摂取量を適量にする、つまり現状から減塩するという視点も大切ですが、摂りすぎたナトリウムは積極的に排出させる、という視点もあります。
その働きをしてくれるのが、“カリウム”なんですね。
カリウムは余分なナトリウムを排出させて血圧を正常に保ったり、腎臓から老廃物の排出を助けるなどの働きが。
「少し塩分の多い食事になりがち」「もっと減塩したい」といった場合には、次のようなカリウムの多い食品を意識して摂ることも考えていきましょう。
ほうれん草、さといも、かぼちゃ、にら、水菜、きのこ類、にんじん、春菊、アスパラガス、れんこん、ごぼう、大根、きゅうり、海藻類、バナナ、アボカド、ドライフルーツ、納豆など
色々書いてきましたが、今回お伝えしたかったのは、次の2点です。
✔︎自分が口にしている食塩の概量を知る
✔︎野菜や果物も積極的に摂るよう心がける
より健康な体作りをしたいなら、まずは現状を知ることが一番。
現状を知って、小さなことでもできることから始めていきたいですね。
いかがでしたでしょうか。
今回は、「食塩の1日の適量を知りたい」「自分が実際に摂っている食塩量がわからない」「どうすれば食塩摂取量を減らせるか知りたい」といった方に向けて、食塩の1日の適量を知るとともに、カリウムを積極的に摂ることの大切さについて書いてみました。
これで、自分が1日に摂っている食塩の量を把握できるようになったのではないでしょうか。
一気に減塩しようと思うと負担になってしまうので、まずは簡単なことから。
・いつも使う調味料の量を半分にする
・市販のドレッシングではなく、オイルに薬味をプラスして食塩なしの自家製ドレッシングを作る
といったように、小さな変化から試してみてくださいね。
(参考文献)
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
『(七訂)食品成分表2018』香川明夫監修(女子栄養大学出版部)
『(七訂)食品80キロカロリーガイドブック』香川芳子編(女子栄養大学出版部)
『最新版 知っておきたい栄養学』白鳥早奈英監修(学研プラス)
『あたらしい栄養学』吉田企世子・松田早苗監修(高橋書店)
『くらし役立つ栄養学』新出真理監修(ナツメ社)
無塩ドットコム『意外と塩分が多い食品・調味料ベスト6』
ちょっと相談してみたい方は
\こちらからどうぞ/