【卵編】知ってお得!1日1個はなぜ?背景を理解して美味しく卵を食べよう

“卵は1日1個まで”

あなたも一度は耳にされたことがあるフレーズではないでしょうか。
でもなぜ?卵は大好きだしもっと食べたいなぁって思うことありませんか?

この記事では、
✔︎ほんとのところ卵は1日何個食べていいの?
✔︎卵を食べすぎるとコレステロールは増えるの?

と疑問を持つ方に向けて、1日に摂りたい卵の適量を把握するとともに、気になる卵とコレステロールの関係性について解説しています。

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1.点数で1日の適量を知る

こんにちは、献立作りを不要にする栄養コンサルタントの高野( @takano_nao)です。

今回は野菜編に引き続き、1日の卵の適量を把握するため、女子栄養大学で考案された「四群点数法」に沿って卵の点数をみていきます。

(参考)
一般社団法人 栄養検定協会「四群点数法とは」

この方法では、あらゆる食品を1点=80kcalとおき、それを自身の日常の身体活動レベルと性別、年齢からみた場合に、1日に何点必要か、ということを把握します。

これまで、ここでは身体活動レベルが「ふつう」の場合における必要点数を見てきましたが、卵についても野菜類や果物類と同様、身体活動レベルに関わらず、ほぼ全ての年代で必要点数は同じになります。

参考までに身体活動レベルが「ふつう」の点数をあげておきます。

身体活動レベルⅡにおける卵の摂取点数

年齢男性女性
3-5歳0.50.5
6-69歳1.01.0

一般社団法人 栄養検定協会「身体活動レベル」から抜粋して独自作成)

1日にとる卵の必要量は、5歳までは0.5点、6歳以上の全ての年代で1.0点
ビタミンCと食物繊維以外の栄養素を含む、ほぼ完全食品の卵なので、子どもにも大人にも必要となっているんですね。


2.卵の1日の適量を知る

卵の代表的な栄養素として有名なのは
✔︎必須アミノ酸
✔︎ビタミンA
✔︎ビタミンB群
✔︎鉄
✔︎レシチン
など。

筋肉や臓器など体の細胞そのものを作ったり、代謝をスムーズにしてくれたり、血中コレステロールを抑制したり、老化や認知症を予防してくれたりと多くの効能がある優秀な食品です。

次に、卵・卵製品の食品1点(80kcal)あたりの写真と分量を挙げるので、概量のイメージをつかんでみてください。
どれを選んでも1つで80kcalとなります。

鶏卵(卵黄LL1個)21g
ピータン35g
うずら卵(水煮)45g
鶏卵(全卵L1個)55g
卵豆腐100g
鶏卵(卵白M5個分)170g

厚生労働省の『平成29年国民健康・栄養調査報告』によると、全ての年代における卵類の摂取量は目標値を上回っています。

全卵1個で目標値を満たせることになりますが、卵は単品でも、ほかの料理に使ってもとても美味しい食材。
卵好きな人は1日1個以上食べたい!とも思いますよね。

では、一体どれだけの卵を食べていいのか、気になる卵とコレステロールの関係についてみていきましょう。


3.1日1個はなぜ?の背景を知る

卵とコレステロールの関係について、多くの人の関心となってきたのは、“卵を食べすぎるとコレステロールが増える?”ということ。

その因果関係については色んな研究がされてきていますが、現時点で国が発表している捉え方を理解すれば、従来からの“1日1個はなぜ?”に答えを見つけることができます。

3-1.コレステロールの働き

脂質は3タイプに分けられますが、エネルギー源になる中性脂肪や、細胞膜やホルモンなどの原料になるコレステロールも脂質の仲間です。

そして、コレステロールは肝臓で合成される栄養素の一つ。
食品から摂取されたコレステロールの4〜6割が吸収されますが、これは、肝臓で合成される量の1/3〜1/7に当たります。
体内で合成される量の方が圧倒的に多いというわけですね。

また、体内にあるコレステロールの量は常に一定に保たれているので、食品から取った量が多いと合成量は減り、逆に、食品からあまり取り入れられないと合成量は増えるという仕組みになっています。

健康情報番組などの影響により、悪いイメージがあるコレステロールですが、細胞膜やホルモンの原料になるので、不足すると血管の弾力がなくなり脳出血などを引き起こすことにも。

私たちの体を造り、維持するのに欠かせない役割を担っているものなんですね。

3-2.コレステロールの摂取基準

5年ごとに改定される食事摂取基準ですが、2010年版においては1日あたりのコレステロールの摂取基準が次のとおり定められていました。

<コレステロールの摂取基準>
(18歳以上の成人)
男性750mg未満
女性600mg未満
(「日本人の食事摂取基準(2010年版)」より)

コレステロールは卵だけではなく、肉類や魚介類、乳製品、油脂類、菓子類など多くの食材にも含まれますが、卵1個に含まれるコレステロールは約230mg。
卵1個食べるだけで基準値の1/3程度を占めていたわけですね。

血中のコレステロールが増えると血管壁にコブを作ってしまい動脈硬化を引き起こす原因に。コブは体内の色んな血管にできるので、脳にできたら脳卒中に、心臓にできたら心筋梗塞になる、ということになります。

なので、卵2個以上食べると、ほかの食品と合わせてコレステロールの基準値を容易に超えてしまうので、“1日1個まで”というわかりやすいフレーズが出来たんですね。

そんなコレステロールですが、2015年にアメリカの農務省と保健福祉省から次のことが発表されました。

食事から摂取したコレステロールが血液中のコレステロール値に与える影響には、個人差が大きく関わるため、基準値を設けることは困難である
(参考文献3,5より)

これを受け、日本の食事摂取基準2015年版にはコレステロールの1日の基準値が掲載されないこととなりました。
なので、現在ではコレステロール摂取量の上限はないものの、いくら摂っても大丈夫というわけではないと言えます。



4.1日2個以上食べていいの?への結論

以上のように、コレステロールの摂取基準はなくなったのですが、脂質異常症などの傾向が見られる人や、高血圧や糖尿病などの他の疾患がある人、個人の体質(遺伝)、代謝状態によって、コレステロールの摂取制限を行う必要は出てきます。

2個以上食べていいかどうかというのは、“個人による”ことになるんですね。

また、特に病気もなく健康な人で卵が大好きな場合は、1日2個以上食べたくなるかもしれませんが、先に見たように、卵1個のカロリーは約80kcal。
卵を食べる量を増やすと当然カロリーが増える上、卵には含まれないビタミンCや食物繊維を含む食品を十分にとれない可能性が出てきます。
栄養バランスとしては偏ってしまいますね。

これらのことを踏まえ、四群点数法では、大人も子どもも卵は1日1個が適量と定められています。



いかがでしたでしょうか。
今回は、「ほんとのところ1日に卵は何個食べていいの?」「卵を食べすぎるとコレステロールは増えるの?」と疑問を持つ方に向けて、1日に摂りたい卵の適量を把握するとともに、気になる卵とコレステロールの関係性について書いてみました。

これで“卵は1日1個まで”と言われていた背景と現状をおわかりいただけたのではないでしょうか。

目玉焼きにオムライス、卵あんかけ、キッシュ、パンケーキなどなど、食卓に華を添えてくれる卵料理。
体調のケアをしつつ、美味しく楽しんでいきましょう。


(参考文献)
1.『(七訂)食品80キロカロリーガイドブック』香川芳子編(女子栄養大学出版部)
2.『バランスのよい食事ガイド なにをどれだけ食べたらいいの?』香川芳子監修(女子栄養大学出版部)
3.厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書:脂質
4.厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」脂質
5.日本動脈硬化学会「コレステロール摂取に関するQ&A」

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ABOUT US
高野 七緒
栄養コンサルタント/子育てアドバイザー/ライター。 育休復帰後に時短勤務を続けていましたが、仕事と家事、育児をこなすだけで体力も精神力も限界に。気持ちに余裕を持って子どもたちと関わりたい、そのために自分自身がもっと柔軟に働きたい、と思うように。 家族と自分を大事にするため個を発揮できる働き方へシフト。地方公務員として14年勤務後、食と教育の資格を複数取得し2020年からフリーに。 モットーは、“日々の何気ない食卓を子どもへの財産に変える”こと。